≪ 委員長あいさつ 全文 ≫

 第26回定期大会に参集された構成員・傍聴者の皆さん大変ご苦労様です。
 また、私たちの大会にお忙しい中、遠方まで参加いただきました関東交運労協・元呑議長、福田弁護士をはじめご来賓の皆さんに心より感謝申し上げます。
 4点について触れあいさつを申し上げます。
 1つは、昨年3月11日の東日本大震災発生から1年半が経過しようとしていますが、未だ行方不明の方もおられます。改めてお亡くなりになりました方のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された皆さんに心よりお見舞いを申し上げます。
 この復旧・復興も時間は経過すれど進んでいない現状にあります。
 また、福島第一原発事故の被害が拡大したにも関わらず、大飯原発の再稼動が強行的に行われる中で「反原発・脱原発」の闘いも盛り上りをみせています。7月16日の代々木公園の集会には17万人が結集し、毎週金曜日の首相官邸前での自発的な抗議行動など、全国的に闘いが展開されています。こうした取り組みの中、政府は今後のエネルギー対策について「原発に依存しないエネルギー」対策を進めていくとしていますが、今後も「反原発・脱原発」の闘いは重要であり、私たちも取り組みを進めて行かなければなりません。
 一方、国会を取り巻く状況は混迷を深め、国民は政治に対する不信感をつのらせ今後の生活に大きな不安を抱えています。
 今後、想定される衆議院選挙にむけては政治方針に基づき国民生活を守るためにも全力で取り組んでまいりたいと思います。

 2つには、組織強化拡大の取り組みについてであります。
 JR不採用問題が終結し、組織強化・拡大を最重要課題とし今日まで取り組みを進めてきました。これまで各地方本部においても組織対策会議が精力的に取り組まれ、拡大に向けての意思統一も図られてきました。こうした取り組みの中で、昨年の大会から今大会まで職場・分会の皆さんの奮闘により18名拡大することができました。
 また、一括和解以降100名を超える拡大となったことから、7月7日に「組織拡大100名達成記念レセプション」を開催してきました。
 言うまでもなく、組織拡大は国労の将来を左右する最も重要な課題であります。
 これまで同様に職場の中心に座り、要求の多数派を形成する取り組みから、若い仲間や脱退していった仲間に対する復帰・加入を大胆に呼びかけて行かなければなりません。大量の退職者が出るという現状を踏まえ、更なる拡大の前進に向け奮闘しあいたいと思います。

 3つには、安全・安定輸送の確立と労働条件の改善についてであります。
 今年4月29日関越自動車道で7名の乗客の尊い人命を奪うという高速ツアーバス事故が発生しました。この事故の大きな要因として規制緩和があります。規制緩和によりバス会社が乱立し、ダンピング競争が激化する中で労働条件が切り下げられた結果であると言えます。
 規制緩和の問題はJR会社も例外ではなく、JR東日本においても2001年の「設備部門におけるメンテナンス体制の再構築」、2007年の「NF2008今後の駅のあり方」における駅業務委託、2009年に提案され、現在、各地方本部・支社との交渉が進められている「グループ会社と一体となった業務体制のさらなる推進」・車両関係の検修外注化、今年1月に提案された「駅業務委託のさらなる推進」の効率化施策・合理化が実施、また実施されようとしています。こうした現状の中で、「安全・安定」輸送確立に向けた「技術力の維持向上と継承・発展」をどうしていくのか最も重要な課題であると思います。この事は私たちだけではなく多くの皆さんが感じている事だと思います。
 そのためにも、現在、地方交渉が行われている検修外注化について安全をどう担保するのか全力にあげるとともに、効率化施策が進められてきた現状の中で、どこに問題があり、何が不十分なのか会社との率直な議論が必要であると思います。併せて、働きやすい職場環境と働き甲斐のある労働条件の確立も必要不可欠であります。
 今後も、粘り強く検証に基づく見直し・改善を取り組み、「安全・安定」輸送確立に取り組んでいかなければなりません。
 また、高年齢者雇用安定法改正案が8月29日の参議院本会議で可決・成立しました。改正案の成立により、希望者全員の65歳までの再雇用が義務化され、企業に縛りがかけられました。しかし一方で、来年4月から老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢が引き上げられることに伴い、年金受給の空白期間が生まれることになります。年金受給の空白期間を埋める法整備が実施されない中で、来年4月以降の年金分をいかに補填させるかが課題となっています。東日本本部は、JR東日本に対して、年金減額分に相当する月10万円を事業者の責任で補填するよう求める申し入れを行いました。基本的には、65歳までの定年制度の延長を求めているわけですが、現行のエルダー社員制度の継続をにおわせる会社の姿勢を考慮し、当面する不利益を回避する立場から事業者の責任において年金減額分を補填するよう求めたものです。
 東日本本部としては、要求の実現に向けて、各地方本部との連携を強化しつつ、取り組みを強化していきたいと思います。

 4つには、「人事・賃金制度の見直しについて」及び労働条件に関する「労働協約」についてであります。
 「人事・賃金制度の見直しについて」であります。
 昨年1月13日に提案を受けて以降、職場討議資料を作成し、制度の狙い・問題点を明らかにするとともに、その改善に向け全地方本部の参加体制で団体交渉を取り組んできました。
 最も強く求めてきたのは、公平・公正な試験制度の運用であり、管理者の恣意的な判断を排除し、できうる限り透明性のある人事考課を実施させることにありました。
 1月31日、JR東日本と3労組は妥結・整理を図りましたが、国労東日本本部は当日の判断はせず、会社に対して議事録に一括和解の経過・趣旨、団体交渉での議論経過を挿入することを求め折衝を続けてきた結果、私たちの求めた文章挿入を会社に認めさせるに至りました。
 各地方委員長・書記長会議、第29回拡大委員会での議論や意見を十分に踏まえたうえで、2月12日に開催した臨時執行委員会で、議事録確認に私たちの主張が挿入されたことを踏まえ、引き続き問題点の改善に全力をあげる決意を確認し、妥結・整理を図ることを確認してきました。

 労働条件に関する「労働協約」についてであります。
 第24回定期大会において追加方針として提起し、様々な意見をいただいたうえで今後の取り組みについて決定し、その後の執行委員会や各地方本部書記長会議での議論を経て、会社に「申」を提出し各地方本部書記長の参加体制の基で、一括和解の趣旨に基づき、健全かつ正常な労使関係の構築をめざす要求の前進に向けて5回の交渉を取り組んできました。東日本本部執行委員会として、判断する時期にあると考えています。これまで地方からの要請なども受け、今大会の中での意見も踏まえた中で検討していきたいと思います。
 最後になりますが、今大会の課題は、「組織強化・拡大」「2013年春闘」「安全・安定輸送確立、労働条件改善」をはじめ政治課題など、私たちの取り組む課題は山積しています。
 今後も全力でそれぞれの課題について全力をあげ取り組みを進めたいことを申し上げ、東日本本部執行委員会を代表してのあいさつといたします。