≪ 委員長あいさつ 全文 ≫

 第27回東日本本部定期大会に結集された、構成員・傍聴者の皆さん大変ご苦労様です。
 また、秋田地方本部、盛岡地方本部の皆さんに大変お世話になりました事に、心より感謝を申し上げます。
 東日本本部執行委員会を代表し、4点について触れあいさつを申し上げます。

 1つは、現在の政治動向についてです。7月に行われた参議院選挙は、自民党が過半数の議席を確保するという結果となりました。
 この選挙で改憲勢力は3分の2には達してはいませんが、自民党はこれを契機に「集団的自衛権の行使」 、改憲発議要件緩和のため 「憲法96条」を改悪し、本格的な改憲に向けての地ならしを行っています。また、自民党の「改憲草案」には、自衛隊の「国防軍」化のための「憲法9条」改悪を行い、国民に国防の義務を課す「徴兵制」の実施など、「戦争のできる国」へと日本憲法を日米安保体制に変節させることを狙い、その実現を着実に進めようとしていることは明白です。
 また、東京電力福島第一原子力発電所の事故がありながらも日本の原子力は安全であるかのごとく、各国に売り込むなどもってのほかであり、原発事故の一日も早い収束と東日本大震災の復旧・復興を国が責任を持って行うことが求められています。
 同時に、消費税の増税をはじめとして働く者を窮地に追い込むような政治が進められようとしています。
 こうした政治課題について、勤労国民・労働者保護の立場から共闘運動を追求し、改憲阻止、反原発、反基地、国民の命と暮らしを守るための闘いへと大きく発展させることが求められています。
 現在、労働者を取り巻く情勢はより厳しいものとなっています。労働力の流動化を提唱している政府は、様々な規制緩和を強行しました。 その結果、失業率は4.2%の高い水準が続き、非正規労働者の割合も35.2%に増大し、年収200万円以下の労働者が1000万人を超え、生活保護を受ける人も213万人と最高を更新し続けています。組織された労働者が、春闘で賃上げの実施を勝ち取り、国民消費の拡大を図ることが日本経済の再生の道であり、消費税増税をストップさせ、雇用を守り、貧困と格差拡大を阻止するための闘いを同時に取り組むことが重要となっています。

 2つには、安全・安定輸送確立と労働条件改善についてであります。
 最初にJR北海道の問題について触れなければなりません。
 今年に入り、列線脱線事故、車両火災、車両トラブルが相次ぎ、会社の信頼を失うという事態となっています。この要因が設備投資にあるのか、技術的な問題であるのかハッキリしたことは言えませんが、国土交通省がJR北海道の技術力向上についてJR東日本からの協力要請を促したということから考えると技術力の継承に問題があることが想定されます。
 この間題は、JR北海道に限られた問題ではないと考えます。私たちはこれまで、2001年の設備メンテナンス再構築をはじめとした効率化施策の中で、「安全・安定」 輸送確立に向けた 「技術力の維持向上と継承・発展」をどうしていくのか指摘してきました。直近では、車両関係の検修部門の業務委託が実施され、これについてアンケート調査を取り組み、ブロックごとの検証会議、系統ごとの対策会議を取り組み交渉への準備も進めてきています。
 改めて全系統を通し、技術継承と安全問題について大きな課題であることからも、粘り強く検証に基づく見直し・改善について取り組んで行かなければなりません。
 また、JR貨物の賃金抑制問題については、社員の生活を無視した労働条件の一方的な変更であり許されるものではありません。会社の黒字経営を早期に達成するのであれば、社員の生活を保障し労働意欲を高揚することが重要であると思います。この問題については今後の動向を注視し、本部と連携を図り取り組むべき重要な課題であると思います。

 3つには労働条件に関する労働協約についてであります。
 この協約締結については、様々な議論をいただき、この中での意見をしっかりと受け止め、要求の前進に向けた運動に全力をあげることを決意し締結しました。
 私たちの基本的労働条件を向上させるためには、締結した協約の内容を改善させることが大前提であり、この協約は期間の定めのない協約となっていることから、今年10月1日を協約改定期日と位置付け取り組みを進めてきました。この4月から取り組んだ「労働条件改善全組合員アンケート」 を基に要求の素案を作成しました。この大会で確認をいただき、大会終了後直ちに申入れ、 交渉を考えています。こうした一連の流れを踏まえ、例年9月に開催していた定期大会も今日の開催としました。
 協約を締結して今回がはじめての取り組みであり、今後見直すこともあるかと思いますが、調査・点検をはじめとした職場からの取り組みが重要であります。
 また、一括和解の「懸案事項」の解消についても引き続き関係する地方本部と連携を図り、問題の解決に取り組んで行かなければなりません。

 4つには、組織強化・拡大についてであります。
 組織拡大の取り組みについては、昨年の定期大会から今大会まで27名の仲間を迎え入れることができました。昨年の本部闘争指令に基づき取り組みを進めてきましたが、その目標に到達することはできませんでした。しかし、これまで各地方本部をはじめ各機関の中で対策会議をはじめ様々な努力がされてきました。この中で、職場末端まで拡大を取り組もうという雰囲気が実感できること、取り組みを通し組織拡大の為の取り組み方や職場での課題が明らかになってきたと思います。
 言うまでもなく、組織拡大は国労の将来を左右する最も重要な課題であり、その中心は東日本本部にあると言っても過言ではありません。組織を増やす中から労働条件改善をはじめとした諸問題の解決と今後の国鉄労働組合の更なる発展を目標に、悔いのない取り組みとするために奮闘しましょう。

 私たち東日本本部の抱える課題を9地方本部・全組合員が一丸となって取り組むことを訴え、東日本本部を代表してのあいさつとします。