≪ 憲法改悪反対、原発再稼働反対、労働法制改悪に反対し、平和と民主主義を守る特別決議 ≫

 2012年12月の安倍政権誕生以降、多くの国民の反対や危惧する声を無視し、これまで築き上げてきた戦後の民主主義と平和な社会が切り崩されてきている。
 安倍内閣は、改憲発議要件である憲法96条改正について、世論の反対意見が多く、断念を余儀なくされた。そこで、「特定秘密保護法案」と「国家安全保障会議設置法案」を提出し、学者・弁護士・報道機関など広範な市民団体の反対運動が広がるなかでも強行採決し成立させた。
 法案の成立をうけ、「積極的平和主義」の具体化として、「防衛装備移転三原則」を閣議決定し、いわゆる武器輸出三原則を放棄し、軍需産業を潤そうとしている。また、沖縄の負担軽減の名の下にオスプレイの本土配置や訓練の強化を行い、中国や韓国との軋轢を意図的に生み出しながら離島上陸作戦や軍備の増強を行う姿は、戦時中を思わせる行動を見せつける事に他ならない。安倍政権は、こうした地ならしを踏まえて、集団的自衛権容認に向かって動きを急ぎはじめた。
 これまで政府は、集団的自衛権は憲法9条を根拠に許されないと見解を示し、30年以上に亘って集団的自衛権を認めていなかった。しかし7月1日、安倍内閣は、国会での議論や国民の投票が必要な憲法改正を経ず、集団的自衛権の行使容認を閣議決定した。時の内閣により憲法の解釈が変更されることは、立憲主義を否定するものであり、断じて許されるものではない。
 一方、東日本大震災から3年が経過したが、被災地の復興は依然として進んではいない。特に、東京電力福島第一原発事故による被害では、故郷を奪われ、未だに15万人に及ぶ住民が避難生活を強いられている。
 東京電力福島第一原発の現状は収束とは程遠く、汚染水漏れ、放射性物質除去装置異常、水漏れによる冷却水電源停止、そして凍土装置稼動も見込みが付かないなど、原発事故の悲惨さと事故処理の困難さを見せつけるものとなっている。加えて原発本体の瓦礫処理による放射性物質の飛散による農作物の放射能汚染が明らかになり、放射性廃棄物の処分場問題では、候補自治体の反対により処分の目処は立っていない。
 それにもかかわらず政府は、原発を「ベースロード電源」と位置付け、原子力規制委員会が基準に適合していると判断した原発の再稼働、核燃料サイクルの推進を掲げた「エネルギー基本計画」を閣議決定している。安倍首相自らがオリンピック誘致で、「汚染水は完全にブロックされている」と言い、中東、ヨーロッパ、インドを訪問しトップセールスを行い、原発輸出に邁進することは、原発事故の収束も程遠い当事国の首相としてあるまじき行為である。
 加えて労働法制を取り巻く情勢では、派遣労働者の常態化の容認や残業代ゼロ制度の創設など労働者保護ルールの改悪が進められようとしている。
 安倍政権は、「守るべきは労働者ではなく一部の企業」という姿勢を鮮明に打ち出してきている。特に残業代ゼロ制度は、19世紀の工場法以来積み重ねられてきた働き手の権利、8時間労働を形骸化することにつながり、長時間労働が過労死を助長することはこれまでの経験から明らかである。
 いま、安倍政権は国民の声を無視し、数の力によって戦争の出来る国にするために、なりふり構わず邁進しようとしており、平和憲法が危機に直面している。
 私たち国労は、結成以来一貫して平和憲法擁護、あらゆる核の廃絶、労働法制の充実など平和と民主主義を守るために職場、地域から闘いを構築し取り組んできた。このことはどんなに困難な取り組みになろうとも変わるものではない。安倍政権の独裁を許さず、平和と民主主義を守るために国労東日本本部は総力を結集し全力で闘うものである。

 以上、決議する。
  2014年8月8日
国鉄労働組合東日本本部 第28回定期大会